第1講 名古屋ことば小辞典
でら えらい 机をつる。学校や職場でほんとうに使われる名古屋弁を最小限の語彙で。
この講で身につくこと
- 日常頻出の名古屋弁約15語の意味が分かる
- 誤解しやすいことばを先に押さえられる
- 文末の「〜だがや」系の仕組みが分かる
まず押さえたい頻出語
| ことば | 意味 | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| でら どえりゃあ | とても すごく | 「でらうまい」。若い世代は「でら」を使います |
| やっとかめ | お久しぶり | 「八十日目」が語源とされる再会のあいさつ |
| えらい | 疲れた しんどい | 「今日はえらいわ」。偉いではないので注意 |
| ケッタ | 自転車 | 「ケッタで行くわ」。ケッタマシーンとも |
| お値打ち | 価格以上の価値がある | 単なる「安い」ではない愛知最重要語。後の講で詳述 |
誤解しやすいことば
名古屋弁には、標準語と同じ形なのに意味が違う「誤解製造語」がいくつかあります。転入直後に戸惑うのは、ほぼこのグループです。
| ことば | 名古屋での意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 机をつる | 机を持ち上げて運ぶ | 学校の掃除の定番。「吊る」イメージ |
| 放課 | 授業と授業の間の休み時間 | 放課後のことではありません |
| B紙 | 模造紙 | 学校や職場の掲示物作りで登場 |
| ときんときん | 鉛筆などが鋭く尖った状態 | 「鉛筆ときんときんにして」 |
| 鍵をかう | 鍵をかける | 買うではありません |
文末表現の仕組み
名古屋弁の骨格は文末にあります。理由を表す「〜だもんで(〜だから)」、念押しの「〜だがね」「〜だがや」、確認の「〜でしょ」にあたる「〜だら」。たとえば「雨だもんで ケッタやめとくわ」は「雨だから自転車はやめておく」です。
語彙よりもこの文末に耳が慣れることが聞き取りの近道です。話すときは標準語で全く問題ありません。「だもんで」だけは便利すぎて自然にうつる人が多く、それが名古屋になじんだ証拠とも言われます。
実践のポイント
今日からできる3つ
- 「えらい」と「放課」は意味の取り違えが実害につながるので最初に覚える
- 無理に名古屋弁を使わない。文末の「だもんで」が自然に出るまで待つ
- 「お値打ち」の感覚だけは早めに体得する。買い物にも仕事にも効く愛知の価値観です